再発

それが発症すると
胸がドキドキしたり締め付けられたような息苦しさを感じたり
妙に不安になったりイライラしたり
原因不明の不安に襲われたり
今までの自分と全然違う自分を見出したり
良し悪しは別としてとんでもない力が漲ってきたり
(殆ど寝なくって平気だったり等)
そんな諸症状に襲われます





私はそれを患い
その疾患に対し
その原因と疑われた女性の名を借り
『雅Complex』と名付けました
2004年秋のことでした





私はその疾患を癒す為に
ありとあらゆる手段を用いました
同じ症状を患った戦友で人体実験すら行いました
その戦友ですか?
えぇ、亡くなりました
あ、僕の治療行為の所為じゃないですよ?
えぇ、彼は治ることよりその疾患を抱えて死ぬ道を選んだのです





前述の戦友だけでなく
自分でも数ヶ月に及ぶ人体実験を行うなどし
そして僕はその病気の治療薬を見つけました
多くの犠牲を払って手に入れたその特効薬
それは…それは本当に本当に激しい薬でした
3ヶ月の…そう、ありとあらゆる手段で治療を試みた雅Complexを
たった3ヶ月で治してしまったその薬
その薬を僕は原材料から『ムラカミメグミ』と名付けました




『雅Complex』を完治させ
やっと社会復帰をしようとした私に
再び悪夢が襲いました
そう、この『ムラカミメグミ』には
非常に強い中毒性があったのでした
そんなことに気付かずに
3ヶ月にも及ぶ短期集中的に反復投与を続けてきた私が
その中毒に抗う術はなく
気付けば立派な重症中毒患者となり
そしてその薬はメーカーより販売中止になりました
多分、厚生労働省より通達があったのでしょう





中毒を引き摺りながら
無理にでも社会に適応しようとした私でしたが
一応、様々な薬を試し
それなりに真っ当には暮らしてみたものの
半ば鬱のような症状を引き起こし
所謂、『童貞革命家症候群』という
レーニンを始めとする過去の偉大なる革命家が例外なく患った病気に罹り
革命か、それとも余命幾許もないか
そこまで追い詰められてしまったのでした





そんな私がフッとネット上にある動画を見たのでした
この動画です
そのとき、私に何か変化があったのでした
そう、それはとてもとても懐かしい感情でした
見ているだけで胸が締め付けられるような息苦しさ
見ているだけで何故か涙が溢れてくるような情緒不安定
見ているだけで感情が飽和して
その見ているものをどう表現していいか分からないような
世界中にその素晴らしさを言い触らしたいような
それでいて世界の誰にもそれを見せたくない
そんな独占欲に駆られるような
そんな症状





いや、まさか、そんな
私は思いました
えぇ、そうですとも
私は神に誓ったのです
もうこんなに辛い思いをするくらいなら
二度と病気にならない、と
病気にならないように節制すると、と
病気の素には近付かない、と
世界の半分は病気の素だから近付かない、と
そう神に誓っ
たのです
そう、昨年の11月のあの日
私は誓ったのです
そんな私が…私が病気になる訳が…





何かの間違いだろう
いや、たまたま調子が悪かったに違いない
そう思ったのですが
一応、念のために検査薬を購入し検査をした結果…

































陽性でした…
























そう、私は…私は再び病気になったのです
3年前から患っていた恐怖の疾患
自分が自分で無くなる様な
回りが何も見えなくなる様な
行き過ぎる日があったり
考え過ぎちゃう日もあったり
そんな恐怖の疾患を再び患う日が来たのでした…





ただ…ただ、私はこの3年間で成長しました
この疾患に対する知識も付きました
そう、この疾患の正式名称もようやく知りました
私の雅Complexを治療する上で
最も献身的な治療を行ってくれた一人の女の子が教えてくれたのです
私が3年前の秋に名付けた『雅Complex』という名の疾患
それは…




























でした














MIYABI―夏焼雅ファーストソロ写真集 [DVD付]

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私はひたすら逃げていました
あの日以来、もう恋なんてしない
そうやって逃げてきました
ただあの子に
もう恋なんてしないなんていわないよ絶対
そう言いたくて
で、色々、頑張ってみました
でも何もしっくりいかなくて
で、ないものねだり的に
童貞だ理系だ革命だと駄々っ子の様に騒いでいました
そんな私に最後の最後に手を差し伸べてくれたのが
そんな私にまだ生きていけるかどうかの検査をしてくれたのが
あの動画であり、この写真集でした





写真集としてどうとか、夏焼雅の魅力がどうとか
そんなことは正直、私には分かりません
分かりませんが…
ただ…この本を開けるたびに
この本で雅ちゃんに出会うたびに
私はこの子に恋をしている
この子以外、私をこんな状態にしてくれる子はいない
そう感じさせてくれました
雅ちゃん…私はもう逃げません
雅Complexだとか、そんな下らない事を言って茶化すのは
もうヤメにします…出来るだけ





嗚呼…





雅ちゃん雅ちゃん