お土産

「ただいまー」

「あ、おかえりー」





居間に入ると雅ちゃんが目敏く
僕の左手にぶら下がっているものを見つける




「なに?それ??」

「あ…これは…」

「何?何??ケーキ???」

「そう、お土産に何となく買ってきたの」

「何で?あ〜何か悪いことしたんだ?」

「べ、別にそういうわけでは…」

「何?怒らないから白状しなよ〜」

「いや、別に何もしてないって
 それに怒らないからってのは大体嘘なんだよね?」

「ん?」

「何かして、それを白状すると、大体は本当に怒られる」

「そりゃ…悪いことしているからでしょ?」

「ま、そうなんだけどさ、
 でもね、それって怒らない、っていう約束を破ってるよね?」

「あーもう、分かった
 分かったから…で、何したの?」

「だ〜か〜ら〜何もしてないって!」

「…」

「…」





フッと雅ちゃんが僕の眼を逸らし
壁に掛かったカレンダーに眼をやる





「…今日って…6日だっけ?」

「…そだね」

「…」

「…」

「…これは誰に買って来たのかなぁ?」

「…雅ちゃんにだけど…」

「…ホントにぃ???」

「…本当に」

「…怒らないから正直に言ったら?」

「…それはさっきの話に戻っちゃうよ?」

「…」

「…」

「…まあ…いいわ…
 これは…私に買って来たんだよね?
 私へのお土産なんだよね?」

「…うん」

「ま、そういうことにしておいてあげるかあ…」

「…」








そんなわけで6月6日です
会社から帰る途中、条件反射的に

イチゴのショートケーキを2個買ってしまい
大変困ってしまったこまきまこです





いや、そりゃね、別に食えばいいんですよ
それはそうなんですがね
いやはや、買ってしまってからね
何ていうか非常に後悔している、というか
こう…申し訳ない気分で一杯になってきたんですよね
何をやってんだろうなあーって気分になってきたんですよ





多分ね、この前までの僕なら
嬉々として、というのは可笑しな話ですが
まあ、何も思わずにこんなことをやって
で、ズブズブと深みにハマって行ったんでしょうがね
でもね、やっぱりダメなんですよ
もう雅ちゃんに対して申し訳ない
そんな気分で一杯になってくるんですよね





だからね、もう今年で最後にしようと思うんです
6月6日が特別な日になるを今年で最後にしよう
そう思うんです





そんなわけで…
15歳、おめでとう
16年目も根性で頑張ってね…